鴻巣友季子の文学潮流(第11回) 水と時間の流れを描く「ここにとどまる」物語
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公開日:2024.03.01 更新日:2024.03.01
目次
水は人間が生きていくうえで欠かせない。能登の被災地ではいまも続く断水が生活を脅かす最大の問題の一つだ。水辺には人びと暮らしが築かれ、過去が堆積し、未来がほの見える。湖畔、河岸、海辺。水と時間の流れを描く3作を紹介したい。
見たいものしか見ないと
独伊という大国に挟まれた村のメモリサイドは戦争によるものだけではない。第2次大戦が終戦すると、棚上げされていたイタリアの化学企業によるダム建設計画が本格的に再開し、「帽子を目深に被った男」たちがやってくる。ここで作者は人間の抱える厄介な邪鬼を描きだす。
流れているのにおなじ場所にとどまり続ける川
江國香織『川のある街』(朝日新聞出版)は川のほとりに住む人たちを描いた3部の作品集だ。水に向ける視線にそれぞれの生き方が如実に表れる。第1編であり表題作は、小学生の女の子の視点から語られ、最終編は80代とおぼしき老女の目を通して語られ、この2編が見事に響きあう。
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